あずさわ家みかん日記

脱サラ、愛媛移住、みかん農家を目指して奮闘中

「2018年5月」に投稿した記事

”こころ”の重厚感

こころ、と言っても夏目漱石の小説「こころ」のことである。

もう12,3年くらい前になるだろうか。高校生の時、夏休みの宿題で出たのが「こころ」の読書感想文だったと記憶している。初めて読んだこの作品について覚えているのは、なんだか暗い話で、読み進めるのに時間がかかったなあということくらいである。

ろくに小説なんか読んだこともなく、スラムダンクだの、ゴルゴ13だの、漫画ばかり読んでいた頃だったので、とても読みづらいように感じたのだろう。

 

それが最近になって再び読む機会ができた。義父が本の好きな人で、いくつか漱石の本をもらったのだ。

大学生になってからの電車通学でよく小説を読むようになり、その中で漱石も読んでいたのだが、「こころ」を読むのは高校生の時以来だった。

 

読んでみると、「なんと読みやすく、かつ重厚感のある作品だろうか」と、以前とは全く違う感想を持った。

ちょっと感動して、日記として書いてしまうくらいに面白かったのである。

 

”上中下”と三部に分かれている作品で、登場人物の「先生」が主人公へ綴った手紙の内容である”下”のパートには、やはり全体的に暗い雰囲気があるにはあるのだが、読み手を引き込んで「先生」の心をトレースしていかせる力にはダイソン以上の吸引力を感じる。

さらに、明治という時代の価値観・倫理観や、人間の業、寂しさについて考えさせられるところも、個人的にはとても好きだ。

 

高校生の時には全く魅力を感じることのできなかったこの作品を、しっかりと咀嚼して楽しめるようになったのは、28年生きてきた自分の「こころ」が色々な出来事を経験し、その度に揺れ動いてきたからなのだと思う。

その経験を以てして、私はようやく「先生」の心に触れることができたのではなかろうか。

 

今回は夏目漱石の「こころ」だったが、昔読んだ本、観た映画、聴いた音楽なんかが、今あらためて触れてみると新たな感覚で楽しめることがある。深く理解できる、感じ取ることができるという場合もあるし、以前とは全く違った捉え方で見える、ということもあるだろう。

 

日々変化する世の流れに身を委ねながらも、たまには立ち止まってみるのも、新鮮な発見があって面白いかな。

と、そんなふうに思わせてくれた漱石はえらい。

 

ではまた!